解説・作例:以下の5問は架空の質問案です。実際の調査記録や、AIの効果を測定した事例ではありません。
「この予約画面、便利ですよね?」。使い心地を知りたいのに、質問の中で先に褒めてしまっています。AIに文章を整えてもらうときも、自然な日本語になっただけで採用してよいのでしょうか。
まず、何を知りたいかと、どう聞くかを分けます。NN/gは、質問に望む答えを含めると、参加者が別の意見を言いにくくなると説明しています。誘導質問の解説
答えを決めずに、直近の経験へ戻す
最近予約サービスを使った人への聞き取りを想定します。追質問は回答に応じて使い、経験がなければ次へ進みます。
| 修正前 | 問題 | 修正後 | 追質問 |
|---|---|---|---|
| この予約画面、便利ですよね? | 肯定を促す | 最後に予約したときの流れを教えてください。 | その中で印象に残ったことはありますか? |
| 予約変更は面倒ですよね? | 変更経験と負担を決めつける | 予約を変更した経験はありますか? | ある場合:直近では、どのように変更しましたか? |
| 電話よりアプリがよいですか? | 手段を二つに限定する | 直近の予約には、何を使いましたか? | その方法を選んだ経緯を教えてください。 |
| 予約時に何が不安でしたか? | 不安があったと決めつける | その予約のとき、何か気になったことはありますか? | ある場合:その点について詳しく教えてください。 |
| 通知があれば毎回使いますか? | 未来の利用意向を聞いている | 予約を忘れないために、何かしていましたか? | ある場合:最後に予約したときは、どうしていましたか? |
5問目は通知への賛否から、現在の対処を知る質問へ変えています。通知そのものを評価できるわけではありません。実際に聞きたいことが変わっていないか、人が判断します。具体的な過去の出来事を尋ねる方法は、NN/gのインタビューガイドも参考になります。
AIには、変更理由も返してもらう
次の依頼文に、自分の目的と質問を入れます。回答者の個人情報は不要です。
目的:[何を知り、何を判断したいか]
対象者:[誰に聞くか]
確認済みの前提:[事実だけ]
質問案:[番号付きで貼る]
質問の誘導、決めつけ、二重質問を点検してください。
元の質問/問題/修正案/回答に応じた追質問を表にしてください。
聞きたいことが変わる案には、その違いを明記してください。
不足する前提は質問し、回答者の経験や回答を生成しないでください。
出力は次の3点で確認します。
- 「便利」「困った」などの評価や、未確認の経験を押しつけていないか。
- 調査目的を保ち、「経験なし」と答えられるか。
- 回答者の発言や経験が、勝手に追加されていないか。
例えばAIに「利用者5人の回答も作って」と頼んで得た「通知が欲しい」は、実利用者の要望として数えられません。発言の引用や需要の根拠にも使えません。
まず質問を一つ見直し、同僚に読んでもらいましょう。質問の試行と修正はGOV.UKの実施ガイドでも勧められています。その後、実際の対象者の話を聞くところまでが調査です。