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研究から考えたこと

AIの「自信80%」は、何が80%なのか

一つの回答の保証と、回答群の当たり方を分けて読む

約6分
この記事の目次

この記事の要点

自信の数値をその回答の保証にせず、同程度の自信を示した回答群が実際にどれだけ正しかったかで読む。

活用案は記事独自の提案です。効果を研究が実証したものではありません。

もっともらしい数字にも、確かめ方がある

AIが「自信80%です」と答えると、あと少し確認すれば使えそうに見えます。ただし、その80という数をどう作り、どんな質問で確かめたかが分からなければ、判断に使える確率だとは限りません。数字が細かいことと、その数字に根拠があることは別です。

2022年のこの研究は、GPT-3へ確信度を表現する追加学習を行い、算術課題CalibratedMathで検証しています。主な訓練は加減算、評価には複数の正答を持つ課題などを使いました。回答自体を固定して校正を評価した点が大切です。arXiv v2を参照し、査読済みとは断定しません。

校正は、同じ自信を持つ回答群で見る

校正の考え方は、たとえば80%と表現した回答が多数あれば、そのうち実際に正しい割合も80%に近いか、というものです。「この回答だけは80%正しい」と内容の一部を保証する意味ではありません。

次は研究結果ではなく、違いを理解する架空の10件です。自信80%の5件は「正・正・正・正・誤」。自信20%の5件は「正・誤・誤・誤・誤」。各組の正答割合は4/5と1/5なので、表示した自信と一致します。しかし全体では5/10しか正解していません。

この作例から分かるのは、集計上の自信の一致と正答率の高さが同じ性質ではないことです。たった10件で実モデルの校正が良いと認定する例ではありません。観察した割合は件数や出題の偏りでも動きます。

5分で、評価メモの列を分ける

まず紙に「問題/答え/AIが示した自信/正誤を確かめた方法/判定」の列を作ります。上の10件を入れ、自信ごとの正答割合と全体の正答率を別々に計算してください。80%の組にも誤答があることを、自分の表で見つけるのが最初の作業です。

手元のAI出力を一つ加えるなら、自分で正解を確認できる軽い課題にします。自信を聞いた時点の回答と数値を保存し、確認後に自信を聞き直した値へ差し替えません。答えが確認できないものは未確認とし、正解にも不正解にも数えません。

正誤を確認できた例だけを集めると、確認の簡単な問題に偏ることがあります。確認できた件数と未確認の件数も残し、「記録全体」と「正誤を確かめられた範囲」を分けて書きます。答えが合っていても、根拠や手順まで妥当だったとはこの記録だけでは判断できません。

自信を聞くことと、校正を改善することは違う

本文の小さな記録は、研究で用いた追加学習を再現するものではありません。「自信を正直に言って」と付け足すだけで、数値が校正されると研究から結論することもできません。モデルや課題が変われば、過去の記録をそのまま流用できるとは限りません。

実務でこの見方を使うなら、「90%以上なら無確認で採用」とすぐに線を引くより、まず自信が高かった誤答も記録に残します。必要なのは数字を増やすことではなく、その数字と結果を後で照合できる状態です。

活用のアイデア

小さく試すなら

5〜10分で、本文の架空の10件を自信80%の5件と20%の5件に分け、各組の正答割合と全体の正答率を計算する。自分のAI出力を見る場合は自信と正誤を別欄へ記録し、未確認は正答へ数えない。

役に立つ場面

「自信が高い」「正答率が高い」「自信と結果が合う」を混同せず、数値を見るときに必要な材料を区別できる。

試す前に確認すること

深めるなら

  • 架空10件を自信別の2組に分け、組ごとの正答割合を計算する。
  • 全体の正答率も計算し、組ごとの一致とは別欄に置く。
  • 実際の出力を記録する場合は、正誤の確認方法と未確認を残す。

研究の限界

  • GPT-3への追加学習と算術評価を扱う2022年の研究。現在の一般チャットの自信表明が校正されているとは言えない。
  • 10件の作例は説明用で、少数の観察から実モデルの校正品質を推定する手法ではない。
  • 主実験の校正改善を、正答率改善や個別回答の保証に読み替えない。

次の学びも、見逃さずに。

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