ソフトウェアの世界でこそ取り入れたい「指差し呼称」文化
工場や鉄道の現場では、当たり前のように取り入れられている「指差し呼称」。
安全や品質を守るための“超・当たり前”な行動ですが、ソフトウェア開発の世界では、そこまでなじみのないもののように感じます。
でも僕は、これはソフトウェアの人こそ取り入れるべき習慣だと思っています。
理由は単純で、
僕らの仕事も「ミスが事故になる世界」だからです。
指差し呼称とは?
指差し呼称は、対象を指さしながら声に出して確認する手法です。
鉄道業界ではよく知られていて、
「信号ヨシ」
「ブレーキ圧ヨシ」
「ドア閉まるヨシ」
といった具合に、
身体と声と視線をセットで動かすことで、確認の抜け漏れを極限まで減らすことを目的にしています。
安全工学の世界では古典的な手法であり、
ヒューマンエラーを 大幅に削減できたという研究も多数あります。
※参考:職場の安全ガイド 指差呼称
単なる気合いや精神論ではなく、
科学的に効果が実証されている「確認の技術」なんですよね。
これがなぜソフトウェアでも有効なのか?
結論から言えば、
ソフトウェア開発においてもヒューマンエラーが原因の事故が多いからです。
たとえば……
- ブランチ名を間違えたまま push
- staging と production を見間違える
- migration ファイルの中身を勘違い
- 本番 DB のレコードを消しそうになる
- issue のチェック漏れ
- 「さっき何をしようとしてたんだっけ?」が発生する などなど。
特に、本番環境の操作をする前は本当に緊張しますし、
人間は慣れれば慣れるほど「思い込み」で動いてしまうので、ミスが起きる前提で仕組みを持っておく必要があります。
そこで役に立つのが、
“身体を伴った確認”という外部の仕組みです。
心理的負荷や集中力に依存しない確認手段を持っておくことで、
思い込みや疲労によるミスを自然に減らせます。
実際の利用ケース
Git 操作
- 「今 push しようとしているブランチは feature/xxx ……ヨシ」
- 「この PR のマージ先は develop ……ヨシ」
環境確認
- 「触っているのは staging ……ヨシ」
- 「飛ばそうとしているデプロイ先は production ……本当に?……ヨシ」
危険な操作の前
- 「消そうとしているテーブル名は users_sessions ……ヨシ」
- 「実行しようとしているコマンドは rails db:migrate ……ヨシ」
声に出せない場なら小声でもいいですし、
本当に厳しい場面なら心の中の声でもOK。
ただし、
指だけは実際に動かすとミス減少効果が段違いという研究結果があります。
単純ですが、「あぶね、、違う!」に気付ける確率が本当に上がります。
パソコンに向かい続けているからこそ効果絶大では?
ソフトウェア開発の仕事って、基本座っているので、体を動かした確認はかなり効果があると思っています。
・長時間同じ姿勢
・画面を凝視
・手はほぼ動かさない
・確認も視覚頼み
・単調だが責任は重い
上記並べてみましたが、普通に考えて人間には不利すぎる環境なんですよね。
脳みそが疲れる&体を動かさなければ、ぼーっとする期間も長くなり、当然エラーも増える。
集中し続けるほうが難しいからこそ、確認を身体に委ねる仕組みが強いと考えています。
形式ばっていなくてもいい。チーム文化として根付かせたい
個人的には、
チーム開発でもこれを積極的に取り入れていくべきだと思っています。
Slack でのレビュー時に
「これ、本番環境じゃないですよね?(ヨシ)」
みたいな軽いノリでもいいし、
口に出さずともレビューコメントに「ヨシ」を添えるだけでも、
“確認している文化”が生まれる。
新人のオンボーディングでも効果があります。
「どう確認すればいいか」まで具体的に伝えられるので、
暗黙知だった確認作業を共有できる。
指差し呼称は、冗談ぽくやっても意外と真面目に効きます。
指差し呼称は、地味だけど最強のバグ予防策
華やかな新技術でも、AIでもなく、
人間の注意力に頼らないための、ほんの数秒の確認。
でもその数秒が、
取り返しのつかない事故を防いでくれる。
僕自身、ガソリンスタンドでアルバイトしていたことがあって、何度も救われた経験もありますし、
ソフトウェア開発の現場でも何度も「ヨシ!」で助かったことがあります。
これからも、
- ブランチ名ヨシ
- 環境ヨシ
- 操作内容ヨシ
しっかり指さして、事故ゼロを目指していきましょう。
“ソフトウェア版・指差し呼称文化”、もっと広まってほしいです。