あゆの塩焼きブログ

「誰が書くか」で変わる結合テスト。観点漏れを防ぐための調査

Agenda目次
  • ・🛫 はじめに:チームの課題に気づくまで
  • ・🧠 テスト観点とは何か?なぜ揃えると良いのか?
  • ・📋 観点チェックリストを整理してみた
  • ・🤝 チームで活用するには?やはり仕組み化
  • ・🧭 テストケース作成者が意識しておきたいこと
  • ・🏁 おわりに:観点を整理する者がテストを制しそう

🛫 はじめに:チームの課題に気づくまで

Web開発している方なら、テストというフェーズはリリース前のフェーズとしてとても重要な役割を果たしていることをご存じだと思います。

ある時、「結合テスト(統合テスト)の観点がメンバーによってバラバラで、重要なケースをテストし忘れてしまう」という問題に直面しました。

たとえば、Aさんのテストは「正常系」中心でエラー時の挙動を見逃していたり、Bさんは細かい入力パターンに強いけれど、別の機能との連携動作を見落としていたり……。

結果として、本番リリース直前に「この観点、足りている?」とテストしてみたら、致命的な不具合が見つかる……なんてこともありました。

このままではよくないなと感じ、観点漏れを減らすにはどうしたらよいかを一度整理してみることにしました。

🧠 テスト観点とは何か?なぜ揃えると良いのか?

「テスト観点」とは、特定の機能に対してどんな視点・切り口でテストすべきかという考え方です。

これはテストケースを設計するうえでの土台になります。観点が明確であれば、漏れや重複の少ないテストが作れるようになります。

ただ、チーム内でこの観点が人によって異なっていると、

  • Aさんは「ここが重要」と思ってテストを書く
  • Bさんは別の観点で設計する

といったズレが発生し、結果として観点の抜け漏れが起きやすくなります。

そうした事態を避けるには、観点をチームで揃えておくことが有効そうです。

たとえば:

  • 共通のチェックリストや観点表を用意する
  • テスト設計段階での観点レビューを行う

といった方法で、ある程度共通認識を持てるとよさそうです。

📋 観点チェックリストを整理してみた

観点を揃えるうえで、チェックリストのような形で明文化しておくと便利そうです。

以下は、私自身が整理してみた主な観点です。

✅ 入力チェック

  • 未入力、空文字
  • 最小・最大の文字数
  • 不正な型、特殊文字、禁止文字
  • 異常な文字列

✅ 画面・UI操作

  • 表示内容、レイアウト
  • リロード、ブラウザバック、直URLアクセス時の挙動

✅ 機能・ビジネスロジック

  • 仕様通り動作するか
  • 境界値、エッジケース(例:>=<の切り替わり)
  • 複数条件検索の組み合わせ網羅

✅ ユーザ権限・ロール

  • 管理者/一般/ゲストでの動作差異
  • アクセス不可時のメッセージの妥当性

✅ 他機能との連携

  • モジュール間のインターフェース
  • 連携機能との整合性確認

✅ エラー・例外
- 外部APIやDB障害時の対応
- 不正入力時のエラーメッセージ
- 権限不足時の処理

✅ セキュリティ

  • XSS対策(スクリプトタグのサニタイズ)
  • SQLインジェクション対策

✅ 性能・負荷

  • 大量データ時の処理速度
  • 同時接続数増加時の動作

こうした観点を意識しておくことで、抜け漏れを減らしやすくなりそうです。

また、一度作ったら終わりではなく、プロジェクトの中で気づいたことを少しずつ更新していく運用ができると、より実践的なリストになっていくと思います。

🤝 チームで活用するには?やはり仕組み化

チェックリストを作るだけでなく、チームでうまく運用する仕組みもあると良さそうだなと思っています。

🔍 1. テスト設計レビューを取り入れる

実装レビューと同じように、テスト観点のレビューを設けると、観点の抜けに早めに気づけそうです。

  • 観点をチェックリストで洗い出す
  • 他メンバーとレビューしながら補足する

という流れで、仕様の理解にもつながると思います。

🧾 2. チェックリストをレビュー時にも活用する

コードレビューのときに、チェックリストを使って観点のカバー状況を確認するのも有効そうです。

  • 「境界値テスト、入ってる?」
  • 「異常系ってこのPRでどこ確認してる?」

といったやりとりがしやすくなり、レビューの質も安定しそうです。

🔄 3. 定期的にチェックリストを見直す

振り返りの中で「最近の不具合はどんな観点が足りなかったか?」という視点で見ていくと、チェックリストも自然と進化していける気がします。

🧭 テストケース作成者が意識しておきたいこと

チェックリストや仕組みももちろん大切ですが、最終的には個々の設計者がどう考えるかがテスト品質に直結すると思います。

私自身が気をつけたいと思っているポイントをメモしておきます。

① 機能の目的を明確にする
仕様書や関係者との会話から、「何のための機能か」を押さえる。
目的が曖昧だと、何をテストすべきかの基準がぶれてしまうので注意。

② チェックリストを見ながら観点を広げる
得意・不得意な視点に偏らず、広い視野で確認する。

③ 正常系と異常系をセットで考える
うまく動く場合と、うまく動かない場合の両方を意識する。
特に異常系は意識的に考えないと漏れがちなので注意が必要。

④ 境界値やエッジケースに注目する
バグの温床になりがちな条件を探す。
特にシステム的な制約やユーザーが想定外の操作を行った場合を念頭に置くのが効果的です。

⑤ 他機能との連携を意識する
結合テストでは、特に他機能とのつながりが重要。

*⑥ 整理した観点をテストケースに落とし込む *
テストコードやケースとして具体化していく。

⑦ 他の人の目で見直してもらう
レビューを通じて観点の補完・共有を行う。
常にフィードバックを受ける体制を作ることが重要。

🏁 おわりに:観点を整理する者がテストを制しそう

絶賛観点漏れに悩んでおりますが、「完璧な人間なんていないのだから、抜け漏れは仕方ない」と半ばあきらめも感じていたところでした。

私自身まだまだ試行錯誤中ですが、観点が整理されているだけでも、テスト設計の安心感がぐっと増すなと感じています。

少しずつ観点を明文化・共有していくことで、チーム全体としての底上げにもつながっていきそうです。

この記事が、同じように悩んでいる方のヒントになればうれしいです。

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