上長との合意形成って難しいよね
最近、仕事を進める中で改めて痛感していることがあります。上長との合意形成はとても難しいということです。
技術的なスキルをどれだけ磨いても、素晴らしいアイデアを持っていても、上の方々に「よさそう!」と言ってもらえなければ、それらの技術やアイデアは日の目を見ることはありません。
お仕事を円滑に進めていくうえで、合意形成は非常に重要なことだと思っています。でも、これが非常に難しい。
「これがベストプラクティスだね!」とある方と合意をとっているときに、別の上長から「こうがいいんじゃない?」と言われると、もう一度最初から考え直さなければならないこともあります。
実は最近、新規事業開発を担当していまして、この合意形成の難しさをより一層感じています。既存事業の改善提案とは違い、不確実性の高いものに対して合意をとる必要あります。不確実性が高い中で、いかに上長の理解と支援を得るか。これは非常にチャレンジングなタスクだと痛感しています。
今回は新規事業開発の視点から、上長との合意形成の難しさと、それを乗り越えるための工夫について、思考の整理もかねて考えてみたいと思います。
なぜ合意形成は難しいのか
僕自身の経験を振り返ってみると、合意形成が難しい理由がいくつか見えてきました。
1. 視点の違い
上長は(きっと)ぼくらより組織全体や業界を見渡す広い視点を持っています。一方で、現場の僕たちはシステムを実現する際のベストプラクティス的思考を持っています。この視点の違いが、しばしば認識のズレを生み出します。
例えば、僕が「このように作れば、スピーディかつ安全に作れます!」と提案しても、上長からは「既存のシステムのこと考慮するとこうのほうがいいのでは?」であったり、「この機能がいる(いらない)」といった、より広い観点からの質問が返ってきます。
2. 関係者の多さとスピード感の低下
特に大きな組織になればなるほど、関係者が多くなり、スピード感が落ちるという問題があります。
1つの提案を通すために、直属の上司、その上の部長、さらに他部署の責任者...と、合意を取る必要がある人が増えていきます。その度に説明資料を作り直し、MTGで合意を得るための戦略を立てて、フィードバックを反映し...不確実性の高い業務であるがゆえに人が多くなればなるほど無駄なことやっているのではないかと感じることもあります。
3. スピードと慎重さのジレンマ
ここで大きな葛藤が生まれます。
私は新規事業開発において、スピード・仮説検証のサイクルを回すことが重要だと思っています。小さく始めて、市場の反応を見ながら素早く改善を重ねていく。失敗してもすぐに軌道修正する。これがイノベーションを生む源泉であるといろんな記事や本で見ました。
一方で、上長の立場からすれば、リスクを最小限に抑える慎重さも必要なのは理解できます。組織への影響、予算の制約、既存システムとの整合性...考慮すべきことは山ほどあります。
新規事業の場合、さらに「既存事業との競合はないか」「ブランドイメージへの影響は」「失敗した時の撤退戦略は」といった質問も飛んできます。正直、まだ始まってもいないのに撤退の話?と思うこともありますが、これも組織を守る立場としては当然の懸念なのでしょう。
このスピードと慎重さのバランスをどう取るか。この葛藤を抱えながらお仕事をしている方は新規事業開発に限らず多いのではないでしょうか...
合意形成で試してみたい考え方
こういう時こそ、AIの知恵も借りながら、合意形成のために意識できそうなことを整理してみました。なかなか実践的な観点が出てきたので、自分用のメモも兼ねて残しておきます。
1. PREP法による提案構成
Point(結論):まず結論から述べる
Reason(理由):なぜそれが必要なのか
Example(具体例):実際の事例や数値
Point(結論の再確認):もう一度結論を強調
このフレームワークを使うと、忙しい上長にも要点が伝わりやすくなるとのこと。
2. 相手側のメリットも言葉にする
AIからの興味深い提案の一つが、「上長の成功」と「自分の提案」をリンクさせるというものでした。
例えば:
- 「この施策により、部署のKPIである〇〇が△△%改善する見込みです」
- 「コスト削減により、来期の新規プロジェクト予算を確保できます」
上長も組織の中で評価される立場。その評価軸に沿った提案をすることで、合意を得やすくなります。なるほど。
3. 小さな合意を積み重ねる
いきなり大きな変更を提案するのではなく、段階的なアプローチを取ることも効果的です。
- まず小規模なPoCの実施許可を得る
- 成果を可視化して報告
- 徐々に規模を拡大する提案をする
この方法なら、リスクを抑えながらスピード感も保てます。
4. データとストーリーの両輪
AIが強調していたのが、定量的なデータと感情に訴えるストーリーの両方が必要ということでした。
- データ:ROI、工数削減率、エラー率の改善など
- ストーリー:チームメンバーの声、顧客からのフィードバック、将来のビジョン
人は論理だけでなく、感情でも動きます。両方のアプローチを使い分けることが大切です。
助言を受けて思ったこと
どれも重要ですし理解できますが、助言を受けて思ったことは少し違った視点でした。
4つのフレームワークを使うことも大切ですが、合意形成の前提として「コミュニケーション」が非常に重要だということです。
AIからのアドバイスを受けて、あることを思い出しました。
プロジェクトにおける失敗の原因の大部分は、コミュニケーションの不足から生まれることが多いということです。
特に新規事業開発のような不確実性の高い領域では、関係者とのコミュニケーションを密にすることが成功の鍵となります。
上長も私たち開発者も思考をオープンにし、意見を交換することで、より円滑なコミュニケーション・相違ない合意形成を行えるのではと思っています。
プロジェクトに対して思っていることをそれぞれが明文化しておくことで、上記4つのフレームワークを使う際にも、より具体的なデータやストーリーを用意しやすくなります。
まずは、おのおのが自分の考えをしっかりと整理して、みんなに開示することが第一歩かもなと感じました。
合意形成は「共創」のプロセスだと思いたい。
書き記している中で、本業の愚痴みたいなものも出てきてしまいましたが、合意形成の難しさを乗り越えるためのヒントも見えてきました。
合意形成を単なる「説得」や「承認を得る作業」と捉えると、どうしても対立構造になってしまいます。
でも、視点を変えて「一緒により良いものを作っていく共創のプロセス」と捉えると、もう少し前向きに取り組めるかもしれません。
特に新規事業開発では、この「共創」の姿勢がより重要になります。自分一人では見えていないリスクや機会を、上長や関係者との対話の中で発見できることも多いんです。最初は「なんでそんなことを聞くの?」と思った質問が、後になって「あの時指摘してもらってよかった」と思うこともなくはないと思っています。
上長も同じ組織の仲間です。広い視点や経験は、自分の提案をより良いものにしてくれることもあります。時にはもどかしさを感じますが、それも含めて組織で働く難しさであり、面白さでもあるのかもしれません。
新規事業開発という不確実性の高い領域だからこそ、アジャイルな姿勢で合意形成にも臨むことが大切だと感じています。最初の提案が100%通らなくても、フィードバックを取り入れて改善し、再提案する。このサイクルを回していくことで、組織として最適な答えに近づいていけるはず。
スピード感を大切にしながらも、丁寧かつこまめで常にオープンな合意形成を心がける。このバランス感覚を磨いていくことが、僕たちエンジニアにとっても重要なスキルの一つなんだと、最近つくづく感じています。
皆さんは、上長との合意形成でどんな工夫をしていますか?特に新規事業や新しい取り組みを進める際のコツがあれば、ぜひ聞かせてください。
合意形成は「説得」より「論点を揃える」ことに近い
合意形成というと、相手を説得するイメージを持ちがちです。
もちろん、提案を通すための説明力は必要です。
ただ、新規事業のように不確実性が高いものでは、最初から全員を完全に納得させるのはかなり難しいです。
むしろ大事なのは、論点を揃えることだと思っています。
- 何を検証したいのか
- どこまで分かれば次に進めるのか
- どのリスクは受け入れるのか
- どのリスクは今つぶす必要があるのか
- どの状態になったら撤退するのか
ここが揃っていないまま「やるべきです」「いや危ないです」と話しても、議論がかみ合いません。
要件定義。具体と抽象。エンジニアリング。 でも書いたように、抽象的なコンセプトを具体的な判断基準に落とすことは、エンジニアリングでも事業開発でも大事です。
小さな合意を積み重ねる
大きな合意を一回で取ろうとすると、かなり重くなります。
だから最近は、次のように小さく分けたほうがよいのではないかと感じています。
1. この課題を解く価値があるか
2. まず誰に試してもらうか
3. どの機能だけで検証するか
4. 何を見て成功とするか
5. いつ見直すか
ここまで分けると、「全部賛成か反対か」ではなく、「まずこの検証だけやってみる」という合意が取りやすくなります。
合意形成は、正解を一発で当てる作業ではないと思います。
不確実な中で、次に進むための足場を作る作業です。
そう考えると、少し向き合いやすくなる気がしています。