AIの回答より、組み立て方が気になる
AIを使っていると、回答そのものよりも、その組み立て方が気になることがあります。
もちろん、AIの内側の思考をそのまま見ているわけではありません。
それでも、出てくる回答を読むと、ある程度の型があります。
- 問題を言い換える
- 前提を整理する
- 選択肢を並べる
- 良い点と弱い点を見る
- 最後に判断する
この流れを見ていると、AIに考えてもらうだけではなく、
その考え方を自分の仕事に戻せるのではないかと思うようになりました。
まず問題を言い換える
AIに相談するとき、こちらの質問が曖昧だと回答も曖昧になります。
「この実装どう思う?」よりも、
「この実装は保守性と速度のどちらを優先しているように見えるか」
と聞いたほうが、答えの質は上がります。
これは人間の思考でも同じです。
悩みをそのまま抱えるのではなく、
何に悩んでいるのかを言い換える。
- 技術選定に迷っているのか
- 仕様の前提が曖昧なのか
- チーム内の合意が足りないのか
- 自分の理解が追いついていないのか
問いを言い換えるだけで、次に見る場所が変わります。
考えるために、まず書く で書いたことに近く、言語化は思考の準備ではなく、思考そのものなのだと思います。
選択肢を並べると、思い込みに気づく
自分だけで考えていると、いつの間にかひとつの案に寄ってしまうことがあります。
過去にうまくいった方法。
今の自分が慣れている方法。
短期的に楽な方法。
それ自体が悪いわけではありません。
ただ、選択肢が見えていない状態で選ぶと、判断ではなく反射になります。
AIの回答には、複数案を並べてくれる良さがあります。
これを人間側にも取り入れるなら、実装前に次のように書くだけで十分です。
- 最小実装案
- 将来拡張を見た案
- 既存設計に寄せる案
- 今回は採用しない案
採用しない案まで書くと、自分の判断が少し見えやすくなります。
前提を疑う癖も持ち帰れる
AIに相談していて助かるのは、こちらが見落としていた前提を返してくれることです。
「そもそも、このデータは必ず存在しますか」
「この処理は同期である必要がありますか」
「ユーザーが途中で離脱した場合はどうしますか」
こういう問いは、自分だけで考えていると抜けやすいです。
人間側でも、作業を始める前に前提を書き出すだけで変わります。
- この機能は誰が使うのか
- 失敗したときに困るのは誰か
- 今回は何を捨てているのか
- いつまでに必要なのか
- あとから変更できる部分はどこか
前提が見えると、議論もレビューも進めやすくなります。
コードより前に、問いを整えることが少し楽になります。
良い点だけでなく、弱い点も見る
AIに「この案の懸念点も出して」と聞くと、自分では見落としていた点が出てくることがあります。
この使い方は、人間のセルフレビューにも向いています。
何かを決めたあとに、
「この判断が失敗するとしたらどこか」
と一度だけ聞いてみる。
すると、テスト不足、権限の見落とし、ログ不足、将来の変更しづらさなどが出てきます。
これは 予測の生産性とシフトレフト の考え方にもつながります。
未来の問題を少し先に想像するだけで、後からの手戻りを減らせます。
AIを使うほど、人間側の型が問われる
AIは、質問の形に強く影響されます。
雑に聞けば、それなりの答えが返ってきます。
前提、制約、目的を渡せば、回答はだいぶ変わります。
つまり、AIを使いこなす力は、プロンプトの小技だけではありません。
自分の中で問いを立て、前提を整理し、判断軸を持つ力です。
AIの考え方を逆輸入するというのは、AIの真似をすることではありません。
AIに渡す前に、人間側の思考を整えることです。
日々の仕事に小さく入れる
この考え方は、大きな設計や難しい調査だけに使うものではありません。
日々の小さい作業でも使えます。
朝に今日やることを並べるとき。
プルリクの説明を書くとき。
会議前に論点を整理するとき。
実装中に手が止まったとき。
その場で、次の3つだけ書いてみます。
- 今わかっていること
- まだ決めていないこと
- 次に確認すること
これだけでも、頭の中のもやもやが少し外に出ます。
AIに聞く前の準備にもなりますし、自分だけで考えるときの足場にもなります。
AIを使う時間が増えるほど、こういう小さい整理の型が効く場面は増えると感じています。
まとめ
AIは、答えを出す道具としても役に立ちます。
ただ、それ以上に、考え方の型を見直すきっかけにもなります。
問題を言い換える。
前提を見る。
選択肢を並べる。
弱い点を見る。
最後に自分で判断する。
この流れを自分の仕事に戻せると、AIに頼るだけではなく、自分の考える力も少しずつ整っていく気がします。
AIを使うほど、人間側の言語化が必要になる。
この感覚は、これからも持っておきたいです。